絵図類から読み解く過去の植生景観
『自然保護』 554
pp.10-12
小椋 純一
絵図類の中には真景図などと称され、実際の風景の詳細な写生をもとに描かれたと見られるものがあるが、その多くは江戸時代中期以降に描かれたものである。写生を追求した円山応挙の影響を強く受けたと考えられる原在中(1750-1837)の作品の中にも、そうした真景図がある。本稿では、原在中が描いた『東山三十六峯図巻』(1803、京都文化博物館管理)を中心に、その資料性を現況地形や同時代の絵図類の描写との比較などから明らかにし、それが描かれた頃の京都東山などの植生景観を考えた。