過去の植生や、それに対する人為などによる火の影響を知る上で、泥炭や土壌に含まれる微粒炭は重要な手がかりになる。その量的分析も重要であるが、微粒炭の母材植物がわかれば、それによって花粉分析や植物珪酸体分析などでは明らかにできない過去の植生の実態を知る手がかりが得られる可能性がある。
微粒炭の母材植物を知るためには、その表面形態について観察を行う必要がある。それは、落射顕微鏡を用いて400倍程度以上の高倍率で観察することにより、より明確にとらえることができる(小椋 2007)。そうした微粒炭をもとにした研究のためには、微粒炭の標本をもとに作成した微粒炭写真のデータベースがあるとよい。微粒炭データベース作成の試みについては2015年に第30回日本植生史学会(於北海道博物館、札幌市)でも発表したが、本学会ではその後の改善点なども含めた現状について報告した。