アジアの文脈では、薬物静注者、セックスワーカー、長距離トラック運転手、女性、MSM(Men who have Sex with Men)、受刑者、軍人などがHIV感染に脆弱な集団と位置付けられる。本論ではこのような世界的な情勢の中で、わが国のHIV感染対策が今後どのように執行されてゆくべきなのかをこれまでの筆者の諸実践をもとに検討した。その上で今後の当該領域の研究と社会施策の実践に当たっては、地域や空間のデザイン、ソーシャルデザインの方法論が有効であることを主張した。なお本論の掲載誌『治療学』は主に臨床に従事する医師、医療実務者により参照される学術雑誌である。