日本における帰雁詠 ―『源氏物語』須磨巻「うらやましきは帰るかりがね」をめぐって―
佛教大学国語国文学会、『京都語文』(第23号)
103-116頁
佛教大学国語国文学会
春に北方へ帰る雁(帰雁)は、和歌の世界では春の景物として親しまれてきた。しかし、『源氏物語』須磨巻で源氏が読んだ帰雁は異質であり、菅原道真の「聞旅雁」や『和漢朗詠集』所収の韋承慶詩の影響を受けたものであり、漢詩の伝統に基づく詠みぶりであることを指摘した。