『和漢朗詠集』の享受―詩歌の増補と大江匡房―
和漢比較文学会特別例会
西北大学(中国・西安)
『和漢朗詠集』は享受の過程で多くの詩歌が増補されてきたが、増補詩句の一つである大江朝綱の「周公旦」句は、鎌倉期以降の写本の大半に取り入れられていること、また、書き加えられた位置が一定していることからみて、この句をもつ写本が鎌倉期以降の写本の根幹をなすものであったことが考えられる。朝綱の句を持つ写本、つまり、大江匡房の関わった本文が平安期以降の『和漢朗詠集』の基盤となっている点について明らかにした。