学会発表

氏名 惠阪 友紀子
氏名(カナ) エサカ ユキコ
氏名(英語) ESAKA Yukiko

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発表タイトル

『和漢朗詠集』多賀切の享受

単独・共同の別

単独

学会・大会名名称

和漢比較文学会海外特別例会

発表場所

中華人民共和国陝西省西安市 西北大学

発表年月日

2017/08/31

国内外の区分

国外

概要

『和漢朗詠集』の多賀切は、陽明文庫に下巻奥書部分が伝わる断簡で、元は巻子本、藤原基俊が永久 4 年(1116)に書写したことが知られる貴重な資料である。基俊の多賀切は書写者・書写年がわかるだけでなく、詳細な詩題注が付されているなど、研究的な書写態度が見られるものであり、本文享受を考える上では 欠かせない資料である。断簡でしか伝わらず、全容が知られないのが惜しまれるが、堀部正二は昭和 14 年に頒布された複製本『伝藤原定頼筆和漢朗詠集山城切』(のち、『校異和漢朗詠集』大学堂書店・昭和 56 年)の諸本解題において、「前田公爵家所藏傳寂然法師筆本は多賀切と極めて密接な關係を保ち、共に同一系統のものと知られる」と指摘している。また、中世以降の写本を調査したところ、関西大学図書館 蔵生田文庫本が多賀切と近い本文を有していることが判明した。生田文庫本は、上巻のみではあるが、裏書として大江匡房の朗詠江注を持つ写本であり、多賀切と生田文庫本を中心に、多賀切本文の享受について考察した。