修士課程の研究を踏まえ、本論文においては、セネガルの国公立大学に加え、私立のイスラーム教育機関を含む様々な高等教育の現場における学生信者たちのあり方と社会、政治参加について分析した。特に彼らの精神文化や宗観、宗教実践を通じて得られるフレキシブルな社会とのつながりについて分析し、イスラームに基づく若者世代の新たな社会生活や精神文化の形成について指摘した。
また近代から現代にかけて、イスラームが常にセネガルの社会、政治、教育の場を作る重要な要素になってきたことを指摘し、西洋の高等教育を受けたムスリムエリートやネット世代の若者達が、イスラームの運動を通して新たな近代教育やメディア、そして政治活動の場を自ら作りあげていることを描写し分析した。