本書は、イタリア映画を代表する4人の監督、フェリーニとパゾリーニ、アントニオーニとベルトルッチを取り上げ、イタリア美術の分厚い伝統とカトリシズムの影響のなかで、彼らがいかなる映像世界を創造したかを明らかにしようとするものである。加えて、演劇界に革命をもたらしたピランデッロが、映画製作をテーマにした小説を1915年に発表し、映画の世界にも並みならぬ関心を示していたことを、当時の資料を駆使しながら論じた。本書は次の5つの章からなる。
Ⅰ.ピランデッロと初期映画
Ⅱ.フェリーニとカトリシズム
Ⅲ.パゾリーニと伝統のアヴァンギャルド
Ⅳ.アントニオーニとイメージの迷宮
Ⅴ.ベルトルッチと造形芸術
なお本書は、書評専門誌である『週刊読書人』(2020年7月17日)と『図書新聞』(2020年9月1日)において取り上げられ、高い評価を得た。