日本における凧の製造や祭礼、遊戯での使用は、人類学的、社会学的に重要であり、ものつくりの伝統に根ざす地域性をもっている。だが、日本では、民俗学的にも美術史的にも、十分な検討はなされてこなかった。この中で、分担者は、これまで製造者のネットワークを日本各地に探すのみならず、従来かならずしも相互に連絡がとれていなかったアマチュアの関係者を繋いで、全国的な活動状況とその歴史を解明する糸口をつかむに至った。本計画では、さらに政府機関に焦点をあて、凧文化の保存と伝達における政府の役割や「芸術化artification」と「国家遺産化patrimonialisation」といった現象を研究し、成果を一冊の本にまとめるための準備をすすめる。現在、まだ西洋では和凧がよく知られておらず、高い品質の図版が掲載された本が公刊されれば、日本や西洋の博物館、美術館が所蔵する和凧コレクションの再評価に貢献するであろう。