企業が持続的な成長を続けるために、自社単独ではなく、多様な企業と連携しエコシステムを形成しながら価値創造を行う必要性が高まっている。本稿では、従来のプラットフォーム型製品からPFエコシステム型製品へと変化するゲームコンテンツの事例を通して、エコシステムの形成とビジネスモデル革新を考察する。まず、2020年に大ヒットした、任天堂のゲームコンテンツ『どうぶつの森』シリーズを対象とし、時間軸による分析を行った結果、共にビジネスモデルを創り上げるアクター間の関わり方や、ネットワーク外部性のあり方に変化が観察された。
また、既存製品がプラットフォーム型からエコシステム型となる際に、中核企業が補完的生産者が価値創造に加わるためのハブとなる機能を構築し、そのハブを自社の収益源泉として新たなビジネスモデルを生み出すことも観察された。本稿の分析事例から、デジタル化に際し、製品革新や市場創造を目指す企業が製品の提供価値を変える際、どのようにエコシステムをマネジメントすべきかの示唆を導出した。