戦後日本思想と知識人の役割
法律文化社
総406頁、担当部分pp.255-272
出原政雄編
第11章「出発点としての「政治と文学」論争――中野重治の「近代の超克」」を担当。これまで「政治と文学」論争は、中野重治の感情的な発言にのみ焦点があてられ、その背後にある中野の時代に対する意識は分析されて来なかった。本稿では、この論争の背景にある中野の戦時体験にまで遡り、「政治か文学か」という二者択一的な近代的枠組ではなく、その両者とは異なる、「近代の超克」という新しい次元をこそ中野は目指していたと論じた。その意味で、この論争は極めて戦後的なものであったと言うことができるだろう。A5判