福田恆存の思想形成―「近代の超克」と文芸批評の成立―
『史境』第29号 歴史人類学会編
pp.31-52
戦後に活躍した保守思想家・福田恆存の思想形成について論じたもの。福田が敗戦直後から活躍することが出来たのは、戦前・戦中期に思想的深化を果たしていたことが大きい。福田の思想形成に大きな影響を与えたのは、小林秀雄と保田與重郎である。小林は「批評」という方法の存在を教え、保田は「近代の超克」という問題意識を与えた。このふたりの影響を戦中期に深化させた結果として、思想家・福田恆存が誕生したことを論じた。