『コギト』創刊前後の保田與重郎─個人抹殺の危機感─
『京都精華大学紀要』第37号
pp.175-194
保田與重郎の高校時代を考察した上記論文(No.3)に引き続き、保田の大学時代を分析したもの。保田が東京帝国大学に入学したその年、いわゆる満洲事変が勃発する。従来の研究では、この出来事こそが重要だったとされているが、むしろ特筆すべきはその翌年の『コギト』創刊である。本稿では、『コギト』で保田が高校時代の連続線上に思想を深化させ、友人たちとの切磋琢磨の結果、文学にとって重要なのは「様式化」にこそあるとの結論に至ったことを論じた.。