一九三四年の保田與重郎―『日本浪曼派』前夜の思想―

『京都精華大学紀要』第39号

pp.259-278

保田與重郎の大学時代を分析した上記論文（Ｎｏ．12）に続き、大学卒業から『日本浪曼派』創刊の間にあたる、1934年の思想的営みについて考察したもの。小林多喜二虐殺に象徴される時代の変化に危機感を抱いた保田は、反ファシズム団体である学芸自由同盟に加入し、旧プロレタリア文学者たちと同人雑誌『現實』を創刊して時代に抵抗した。本稿では、『現實』で培われた亀井勝一郎との信頼関係こそが、翌年の『日本浪曼派』創刊を準備した点について論じた。