保田與重郎の「日本浪曼派」―「日本の橋」を中心に―
『文学史を読みかえる・論集』第1号
pp.4-18
「日本浪曼派とは何か」という古くまた新しい問いに対し、仮説の提示を試みたものである。まず、雑誌としての『日本浪曼派』と「思想としての日本浪曼派」を明確に分け、前者を亀井勝一郎や太宰治に、後者を保田與重郎に代表させた。そのうえで、保田によって体現された「思想としての日本浪曼派」を、文明開化を起源とする日本「近代」への根源的な批判として捉え、近代そのものへの全面的な批判へとつながる可能性を論じた。