福田恆存の保守思想―近代認識と「共同体」―
『年報日本史叢1994』筑波大学歴史・人類学系編
pp.19-46
福田恆存の戦後における思想展開を原理的に考察したもの。福田の思想の強さは明確な西洋近代に対する認識にある。福田が戦後日本で展開したのは、この近代認識に基づく「日本近代の確立」と、それ故に体得し得た近代の限界への認識から来る「近代の超克」という、相矛盾した思想であった。この帰着点として、福田が独自の「共同体論」を確立したことを論じた。