保田與重郎における「浪漫主義」の形成―「逃避」から「反抗」への転回―
『史境』第32号歴史人類学会編
pp.12-31
日本浪曼派を代表する批評家・保田與重郎の思想形成について論じたもの。後年の「右傾化」ゆえに忌避される保田だが、彼が極めて反近代的な思想を紡いだのは、青年期における近代の洗礼の強烈さゆえである。あまりに繊細な意識をもった保田にとって、1920年代から30年代という時代は、マルクス主義に無関心にはさせなかった。それ故、保田のマルクス主義理解は極めて浪漫主義的なものとなり、近代の問題性を自覚させたと論じた。