紙芝居と〈不気味なもの〉たちの近代
青弓社
十年の歳月を費やした紙芝居の調査研究に基づき、紙芝居業者の生活史と社会的周縁性、戦間期の教育紙芝居による街頭紙芝居の排除と包摂、「墓場奇太郎」物語のアルケオロジーと民話、紙芝居、マンガへ到るメディアの歴史について論じた本。そうした事例研究を通して、人類学や民俗学における、恐怖や嫌悪の感情と社会的排除ないし差別のかかわりをめぐる境界論・両義性理論に対して、アガンベンの政治哲学とキットラーの精神分析的メディア論の成果を踏まえながら批判を加えた本。