紙芝居の変化と生産構造の変容
『国立歴史民俗博物館研究報告』第91集、国立歴史民俗博物館
明治30~昭和10年代の紙芝居における実践が変化しつつ構造化するあり方を問題にした。絵話(平絵)の出現による紙人形芝居(立絵)の後退は、従来の生産における製作と使用の未分化な形態や徒弟制が解体する過程と並行して行われた。そこで、鏡を用いた紙芝居のような変形も見られる。そして、平絵の生産における文字(ウラガキ)の介入が製作者と熟練の説明者(タクヅケ係)の間に軋轢を生じさせていた。それは、画面構成に対する上演時の音声言語と製作時の文字との矛盾に由来するものであった。