紙芝居のテクストは、製作者、上演者、観客のインタラクティブな関係の中で、イメージとの連繋によって形作られる。その二つの側面によって、テクストの作者性は単一であることを拒む。そうした紙芝居が民俗学の研究対象として適さないことへの疑問から出発し、その原因が音声言語と文字の対比による民俗学の方法にあることを明らかにし、従来の方法を決定した音声中心主義に反省を促した論文である。そうした限界を克服するため、紙芝居研究を明治期の芸術におけるイメージとテクストの相互作用に関する議論の中に位置づけようと試みた。