街頭紙芝居と教育紙芝居-戦前戦中における紙芝居の展開-
『口承文藝研究』第23号、日本口承文藝学会
明治~戦前戦中における紙芝居の生産構造、上演、テクストのあり方を、生産者の生活史的背景と共に捉えた上で、紙芝居が教室の中に囲い込まれ、「教育紙芝居」として再創造される過程とその政治的意味を明らかにした。この過程を通じて、本来生産者や観客の生活世界と不可分の関係にあった紙芝居は、まさにそのことを理由に否定され、「街頭紙芝居」と名づけられる。さらに、戦間期に教育紙芝居が「教化紙芝居」や「国策紙芝居」へ転化してしまった原因を、生活綴方運動との比較を通して探った。