2020年1月25日(土)ー2月22日(土) 22日まで会期延長
KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYは、2020年1月25日(土)より小松敏宏個展『トポフィリア(場所愛)—ジャパニーズ・ハウス』を開催いたします。本展では、 小松が1997年より20年以上に渡って撮り続けている〈ジャパニーズ・ハウス〉を、個展形式で一挙に展示いたします。当シリーズの東京での展示は、東京 都写真美術館のグループ展『日本の新進作家 vol.2:幸福論—小松敏宏・蜷川実花・三田村光土里』(2003年)以来、実に17年振りとなります。
〈ジャパニーズ・ハウス〉は、小松が拠点としてきた静岡、東京、滋賀、そして京都の「家族」と「家屋」をフォトモンタージュ/フォトコラージュし、類型学的に撮りためてきた作品です。家と、その家に住まう家族をモデルに撮影し、住人の「顔」部分に彼らの居住する「家」をフォトモンタージュ/フォトコラージュした作品群は、アウグスト・ザンダーのポートレートや、ベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻の給水塔シリーズに代表される「タイポロジー・フォトグラフィー」1 が意識されており、同じ種類の対象を被写体とした写真を集めることで、イメージ同士の差異や、複数のイメージの集積から見えてくるものを探ります。
また展覧会のタイトルに冠された「トポフィリア」は、イーフー・トゥアン(b. 1930、中国系アメリカ人、ウィスコンシン大学マディソン校名誉教授、現象学的地理学研究者) の提唱する「環境と人間との情緒的なつながり」を表す概念として提示された言葉です。「人間と環境の本質的な関係」を導き出す概念として、建築・都市計画・自然・環境論などの見地から欧米圏の研究者たちに多大な影響を与えた言葉ですが、日本語では「場所愛」とも訳され、人々が「場所」に対して抱く、潜在的な意識の深さを表す言葉としても知られています。
人と家族、住まいと建築、そしてその周辺環境。20 年以上に渡る時間軸でシリーズ制作を続け、様々なスケールを内包しながら、東京では初の個展形式で17 年振りに本シリーズが展示されるこの度の貴重な機会を、是非お見逃しなくご高覧いただけますと幸いです。