KANA KAWANISHI GALLERYで、小松敏宏による個展「空間概念:透視2022.9.3」が開催されている。
小松は1966年静岡県浜松市生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科を修了し、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院建築学部を修了した。アムステルダム・ライクスアカデミーやニューヨークでの滞在制作を経て、MoMA PS1やクイーンズ美術館で個展をするなど、欧米をベースに精力的に活動する。帰国後は瀬戸内国際芸術祭(2013)や越後妻有アートトリエンナーレ(2012、2015)などの国際芸術祭を中心に、サイトスペシフィック・インスタレーションやパビリオンのほか、写真表現などを用いて、事象の認識を更新させる視覚芸術を重ねてきた。
清澄白河で3年振りの個展となる本展は、建築空間のレイヤーを打ち消す透視写真シリーズ 「CT」を、ギャラリー空間を活用したサイトスペシフィック・インスタレーションとして発表する。本展覧会に足を運んだ鑑賞者は、ギャラリー内の壁をとおし、1年前の2022年9月3日のギャラリー外の様子をみる鑑賞体験へと誘われるという。1900年代のNYで活躍をしたアーティストのゴードン・マッタ=クラークは、建造物の実空間に直接穴を穿ち景色を更新させたが、写真技術を駆使する小松は、日々生活のなかで利用されている現役の建造物の壁を扱いながらも、その向こう側の景色を呼び起こす。
同時に発表する「CT(ペインティング)」シリーズでは、絵画作品の向こう側をみせることで、二次元と三次元空間が越境する表現を展開。絵画とも写真とも呼びうる作品には、彫刻的概念もが内在し、1940年代末〜50年代にルチオ・フォンタナを中心に提唱された「空間主義(スパツィアリスモ)」を21世紀的に継承していると言えるかも知れない。
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