者の調査地であるコンゴ民主共和国(旧ザイール共和国)における1990年代のハイパーインフレを、実際の見聞をもとに描写し、コンゴの現代史との関連を記述したものである。1993年に7万パーセントを超えたといわれるインフレは、大量の札束で少しのものしか買えないという状況の他、為替レートの急落、日常生活の逼迫を招いた。このインフレの原因が政治的混乱にあることは間違いないが、その淵源を植民地時代の統治に求め、ハイパーインフレまでにいたる現代史を概観した。また各種資料を用いて国民の生活がすでに戦争による難民並に低下していることを実証した。