物質文化に乏しいピグミーの食生活の中から、「嗜好品」として考えることのできる食品をいくつか挙げ、その理由を説明した。甘味としてのハチミツは、味付けに用いられるのではなく、季節によっては主食に代わって摂取される。大量摂取が腹痛と下痢をもたらすにもかかわらず、である。油脂分の乏しい食生活をおくっていると、ゾウの脂の固まりはそれ自体がおかずになってしまう。それほど油脂は嗜好性が強い食品である。塩は必要の数十倍も取ってしまう点、それが寿命を縮める点などから、嗜好品にとどまらず、薬物の性格を持っていることも指摘した。