野菜ロスの実測は困難であるうえに,実測してもそれがロスの低減には直結しないため,実測値はほとんど存在しない.今回は,野菜の種類によってロス率やロスの原因がどのように異なるのかを,直売所併設圃場での生産者のもとで実測したデータをもとにまとめた.農林水産省の作物統計によるロスの推計値に対して,本論文での実測値の方がロス率が低かった品目は,こかぶ,ばれいしょである.直売所では大きさに関する規格がないことが影響している可能性があるが,確認のためにはさらに詳細な調査が必要である.逆に,作物統計よりもロス率が高かった品目は,ほうれんそうときゅうりであった.今回調査したさつまいもに関しては,土が硬かったために収穫時の割れが生じやすかったこと,普段なら収穫しない小さいサイズの芋を収穫したことでロス率が高く出たが,それを例外ととらえると,「土物」よりも葉菜や果菜の方がロス率が高い傾向があることが示唆された.