講演・シンポジウム等

氏名 安田 昌弘
氏名(カナ) ヤスダ マサヒロ
氏名(英語) YASUDA Masahiro

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発表タイトル

「音楽と空間の相互作用について」

単独・共同の別

共同

講演名称

『都市と芸術のダイナミズム』シンポジウム(立命館大学先端総合学術研究科「音楽と社会」研究会)

発表場所

立命館大学学而館301教室

発表年月日

201901

概要

モーツァルトとザルツブルク、エルガーとミッドランド、ビートルズとリバプール。ブルーズとミシシッピ三角州、レゲエとジャマイカ、ヒップホップとニューヨークなど、音楽と空間(あるいは場所)の結びつきを扱った研究は古今東西枚挙にいとまがない。しかし、実際には、これらの土地がこれらの音楽や音楽家を産み出した空間的――あるいは環境的――要因を一義的に説明することはできない。そうすることで、ブルーズの「父」を特定し、その住居一帯を買い上げて再開発し、ブルーズの聖地をつくってしまったメンフィスのように、下手をするとグローバル経済のなかでの観光客の誘致合戦に都合の良い道具に成り下がってしまう研究も少なくない。
 本講では、このような問題意識を踏まえ、人文地理学者のデヴィッド・ハーヴェイが『Social Justice and the City』(1973. London: Edward Arnold)の冒頭で定義した、「絶対的空間(Absolute Space)」「相対的空間(Relative Space)「関係的空間(Relational Space)」という三つの空間概念を紹介し、これらの空間概念が音楽と空間の結びつきを説明する上でどのような含意を持ちうるかを検討してみたい。これらの空間は、それぞれ独立・固定したものとしてではなく、相互に干渉しあうものとして動的に把握する必要があるとハーヴェイは指摘する。発表者はこれまで、非英米圏のヒップホップや、京都のブルーズの調査をおこなってきたが、そうした知見を踏まえつつ、音楽の空間的意味の多元性と、それらの間のダイナミックな相互作用を浮き彫りにする。