マンガとジェンダーの複雑な関係について、マンガの表現とメディアのあり方に注目し、主に三つの視点—①マンガの歴史やジャンルとの関係、②マンガの文法との関係、②マンガリテラシーとの関係―から、その「複雑さ」の実態と影響について考えた。具体的な作品の分析を通じ、マンガが持つ無自覚な影響力を指摘しながら、現代日本=「マンガのある社会」に生きる人々が持つジェンダーイメージを捉えることで、理念的・抽象的な問題ではなく、身近にありながらなかなか客観視できない現実の問題として、男女共同参画の可能性と課題に迫った。