UNESCOは2009年にアイヌ語を極めて深刻な消滅の危機にある言語と分類したが、アイヌ語関係者は様々な立場で保存や継承、復
興の努力を続けている。本稿では、COVID-19が流行した2021年3月に開発された、新しいハイブリッド型の言語習得スタイルを採
用したアイヌ語の授業に焦点を当てる。アオテアロア(ニュージーランド)のコミュニティ中心のマオリ語習得法であるテ・アタアランギ
を応用したこの授業では、毎週90分のセッションがZoomで開催され、さらに自身でアクセスするMoodleのアクティビティで補足され
る。アイヌと非アイヌの参加者は30人に及び、国籍、年齢、職業、アイヌ語能力レベルなど様々であるが、アイヌ語復興に尽力する人たち
である。このハイブリッド型授業が、同期型・非同期型それぞれにおいて抱える課題について考察する。