「美術による教育及び文化普及」が大学で15年間以上学生に指導してきた美術教育(美術科教育)における研究テーマである。本研究ノートでは、「美術の学力」をどのように捉えるか、知識とともに大切な「技の継承」「技能」を学生にどのように伝えていくかを自らの実践研究からまとめてある。「新しい学力観」「確かな学力」「PISA型学力」などが教育界で論議される中で、美術を学ぶと「何ができるようになるのか」を明確にする分析・考察を進めた。学力重視の現在の学校教育において、平成10年の学習指導要領から中学校及び高等学校の「美術」は、授業時間数が削減され、周辺教科と呼ばれ、学力と美術は、切り離れてしまったと危惧している。学習指導要領が平成29年から同30年に改訂され新しい教育を進めようとしている今、20年前学習指導要領にかかわった一人として、「美術の学力」について改めて研究を深めまとめ直すことで、美術の必要性を再構築したいと考えた。