モダン・アートとモダン・デザインは、時代も地域もオーヴァーラップし、しばしば運動としても一体であった場合がある。しかし、デザインと美術の領域を超えて論じる研究者は少ない。これには深いイデオロギー上の問題を孕んでいると考えられる。
モダン・アートの作家が同時代のデザインとどのように関わっていたかを、13人の芸術家を取り上げて論考した。
担当したのは、「シュプレマティズムとデザイン」。カジミール・マレーヴィチの建築モデルと陶芸作品とを概観し、シュプレマティズムの思想における彼のデザインの意味を考察した。形態の記号性に着目した彼の視点は、今日なお重要な示唆がある。